1. クリスチャン・トルチュとは?

クリスチャン・トルチュ (Christian Tortu) は
フランスの著名なフローリストで、
フラワーアレンジメントの世界で
革新的なスタイルを確立したことで有名です。

彼の作品は、自然と都市の美しさを組み合わせた独自のスタイルで、
伝統的なフラワーアレンジメントの枠を超えた
斬新さが特徴です。

トルチュは、花や植物そのものだけでなく、
苔や枝、木の実、葉といった自然素材を取り入れることで
「自然そのものを表現」するスタイルを追求し、
フランス国内だけでなく世界中で多くのファンを魅了しています。

彼の手がけるアレンジメントは、美術的な感覚と自然への敬意が感じられます。また、香りにも非常にこだわりを持っていて、キャンドルやフレグランスなども展開しています。彼の作品にはシャビー&エレガントさがあり、都会的でありながらも田園の自然の美しさを感じさせるのが特徴です。


2. シャンペトルブーケの魅力

「champêtre」という言葉はフランス語で
「田園風」という意味です。

フランスのフローリストである
クリスチャン・トルチュが始めたとされる
「シャンペトルブーケ」は、
野花を摘んでそのまま束ねたような、
自然な雰囲気が漂うデザインが特徴です。

彼の全盛期は20年ほど前だったでしょうか。
ネットが今ほど発達していなかった時代、
フラワーデザイナーたちは
新しいものを求めて情報を追いかけていました。

田舎風や田園風のコンセプトは
当時としては衝撃的な美しさで、

スマートで洗練されたトルチュのスタイルは、
マダムたちの間でも非常に人気がありました。

海外のフローリストにはゴツいイメージが多い中で、
彼のスタイリッシュでハンサムな外見もまた、
多くの人々を引きつけました。


3. デモンストレーションの思い出

みんなでお洒落をして、
彼のデモンストレーションを見に行ったことも
懐かしい思い出です。

当時はまだ豪華絢爛な結婚式が主流でしたが、
夢のレストランウェディングを選ぶ
お客様は皆お洒落で洗練された方ばかりでした

(後に「リーズナブルさ」から
レストランウェディングを選ぶ時代に変わってしまいましたが)。

そんなお洒落なお客様に
シャンペトルブーケを提案すると、
とても気に入っていただけたのを覚えています。

シャンペトルブーケの魅力は、
一見シンプルでありながらその材料集めが難しく、
特に当時はアイビーやユーカリなどが
手軽に入手できなかったので、
準備には苦労もありました。

現在では簡単に揃えられるようになり、
フランスの田園風景を想像しながら
アレンジを楽しむことができます。


4. 今月のレッスン:高橋貴子先生の指導で学ぶ

そして今月のレッスンは、
洋書のコースで

「クリスチャン・トルチュさん」から学ぶ回です。

いつものように、私のコンサルタントでもある
高橋貴子先生のレッスン風景をご紹介します。

花材には少し変わったものを選び、
自然体の美しさとトルチュの
シャンペトルのスタイルを取り入れたアレンジを楽しみました。


5. 花材のご紹介

今回使用した花材は、
シャンペトルのテーマにぴったりな
少しユニークなものです。

それぞれの特徴を簡単にご紹介します。

  1. キイチゴ ‘ベビーハンズ’ (Raspberry ‘Baby Hands’)

    • 特徴: 小ぶりで可愛らしい実をつけるラズベリーで、独特の甘酸っぱさと鮮やかな赤い実が特徴です。果実は小さめで、フラワーアレンジメントや食用に適しており、葉も装飾に使われることがあります。

    • 産地: 北米、ヨーロッパが主な産地ですが、日本でも適応可能です。

  2. ハイドランジア ‘バニラフレーズ’ (Hydrangea ‘Vanille Fraise’)

    • 特徴: ピンクから白へのグラデーションが美しいアジサイの一種で、夏から秋にかけて咲きます。花びらは白から始まり、成熟するにつれてピンク色に変わり、まるでバニラとストロベリーのアイスクリームのような色合いです。

    • 産地: 原産はアジア、特に日本や中国。‘バニラフレーズ’はヨーロッパでの園芸種として開発され、特にフランスで人気があります。

  3. コニファー ‘ブルーアイス’ (Conifer ‘Blue Ice’)

    • 特徴: 青白い葉色が美しい常緑針葉樹で、フレッシュでさわやかな香りが特徴です。枝が柔らかく、アレンジメントやクリスマスリースに使われます。切り枝としても日持ちが良いため、インテリアデザインに人気です。

    • 産地: アメリカ南西部、特にアリゾナやニューメキシコが原産です。

  4. ヨベル ネイティブフラワー (Yobel Native Flower)

    • 特徴: 詳細な種類により異なりますが、一般にオーストラリアや南アフリカのネイティブフラワーはドライフラワーにしやすく、エキゾチックな雰囲気を持つ植物です。花持ちが良く、野性的な質感や独特の形状がアレンジにアクセントを加えます。

    • 産地: オーストラリアや南アフリカが主な産地です。

  5. クジャクソウ ‘アンレイズ’ (Aster ‘Unlace’)

    • 特徴: 細かい花が密集して咲くため、アレンジメントのボリュームアップに適しています。白や薄紫色の可憐な花が特徴で、リースやブーケに涼しげな印象を与えます。

    • 産地: 原産地は北アメリカですが、広く栽培されており、日本やヨーロッパでもよく見られます。

  6. ユーフォルビア ‘初雪草’ (Euphorbia ‘Diamond Frost’)

    • 特徴: 細かい白い花を一面に咲かせるため、雪のような涼しげな印象を持っています。葉も薄く柔らかで、夏の暑さに強いことから花壇やアレンジメントに人気です。

    • 産地: 原産は南アメリカですが、装飾的な用途として世界各地で広く栽培されています。

  7. フェイジョア (Feijoa)

    • 特徴: 南国風の外観とトロピカルな風味が特徴で、果実はパイナップルやグアバに似た風味を持ちます。小さな白い花も魅力的で、果実だけでなく、観賞用としても人気があります。

    • 産地: 南アメリカ、特にブラジル、パラグアイ、アルゼンチンが原産です。現在ではニュージーランドやオーストラリアでも広く栽培されています。


6. アレンジメントの工夫とポイント

今回はブーケではなく、
花瓶にそのまま自然な形で投げ入れるスタイルを取り入れました。

横長でスタイリッシュな花器と、
縦長でエレガントな黒い花器を選び、
シンプルな中に高級感が漂います。

特に横長の花器では、花留めを作らなかったため、
初めは花材がずれて苦労しましたが、
次第に花材が増えていくとしっかり安定し、
理想的な配置が可能に。

制作の際には、
ほとんどゴミが出ませんでした。

これはほぼそのままの枝ぶりを活かした結果であり、
シャンペトルのナチュラルなイメージにも
非常にマッチしています。

完成したアレンジメントは圧巻の仕上がりで、
まるで素敵なフローリストの
ウインドウを飾るような雰囲気が漂います。


7. まとめ:自然体で学べるレッスン

今回のレッスンでは、
クリスチャン・トルチュの
「シャンペトルブーケ」をテーマに、
自然の持つ美しさと力強さを感じられるアレンジを楽しみました。

終わった後に作品を解体して花材を持ち帰り、
自宅で再びアレンジに挑戦するという体験もでき、
学びの深いレッスンになりました。

貴子先生のご指導のおかげで、
自然体でおしゃれなアレンジを学ぶ貴重な機会をいただき、
充実した時間となりました。

次回のレッスンも楽しみです。

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