1、奥沢神社例大祭と大蛇お練り行事:伝統と日常が交わる場所
2、奥沢神社の歴史と大蛇お練り行事の由来
3、大蛇と地域の結びつき
4、大蛇お練り行事の現在と未来
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1、奥沢神社例大祭と大蛇お練り行事:伝統と日常が交わる場所
なんという暑さでしょう!
本日の最高気温予想は35度。
これは日向では40度を超えるのではないでしょうか。
このような厳しい暑さの中で、
今日と明日は奥沢神社の例大祭が行われます。
そして、気がつけば私も昨年のお祭り以来、
ほぼ毎朝奥沢神社にお参りをし続けて1年が経ちました。
1年毎日続けるというのは、
始める前は大変そうに感じましたが、
実際に続けてみると、
特に何でもないように感じられます。
これはまさに「習慣」の力でしょう。
何事も、続けることが自然と生活の一部になるのだと思います。
日々参拝している奥沢神社の空気は、
どこかゆったりとしていて、
いつも心を落ち着かせてくれます。
特に、境内でのんびりと過ごす猫ちゃんたちは、
私の心に癒しを与えてくれる存在です。
彼らに会うことで、忙しい日常から
少し離れてホッとするひとときが過ごせるのです。
今日は普段とは少し違い、
バスで出勤することにしました。
自転車通勤が普段の私にとって、
今日はバスに乗って奥沢に向かうというのは新鮮な体験です。
まずは、アトリエに行ってお掃除などしてから
奥沢神社へ行くことにしました。
神社までは徒歩でわずか3分ほどの距離ですが、
今日は特に暑さが厳しく、
歩くたびに太陽の熱が体に
重くのしかかってくるように感じました。
普段は自転車に乗っているせいか、
歩くことでこの暑さが一層厳しく感じられます。
「どうして皆さんは普通に歩けるのだろう?」
と不思議に思いながらも、
周りの風景を眺めていると、
手に藁を持って歩いている人々に気づきました。
これは面白い光景です。
「わらしべ長者」を思い出しました。笑
道行く人々が藁を手にしているなんて、
何か特別な意味があるのだろうと思いました。
・・・本当にわらしべ長者になれるのかな?
すると、はっぴを着た方が、
「この藁は、奥沢神社の大蛇お練り行事で使うものです」
と教えてくれました。
この藁は1年間家に大切に保管し、
翌年新しい藁に取り替えるという
風習があるそうです。
このように、藁は地域の人々にとって厄除けの意味があり、
毎年行われる大蛇お練り行事と深く関わっているのです。
奥沢神社に到着すると、
屋台の準備が進んでいるのを目にしました。
お祭りが始まると
どうして?というほど
狭い境内が屋台と人で
いっぱいになります。
こうなるともう私は入れなくなります。
「暑い、暑い」と言いながら準備をしている皆さんには、
本当に頭が下がります。
この暑さの中での準備は、
相当な労力を要するでしょう。
参拝者たちの列も次第にでき始めていました。
ところが、
いつもなら神社の奥に鎮座しているはずの
大蛇が見当たりません。
大蛇はお祭りの2〜3日前になると
奥からニョキっと出て来ていましたが、
今日は不思議なことにその姿がないのです。
少し驚きながらも、
後ほど、秘密を解いていきます。
2、奥沢神社の歴史と大蛇お練り行事の由来
奥沢神社は、世田谷区の奥沢に位置する由緒ある神社です。
世田谷には「代沢・松沢・北沢・引沢・駒沢・深沢・奥沢」
という7つの沢があり、
その中で「奥沢」は最も奥にあることから
その名前が付けられました。
奥沢は田園調布や自由が丘に隣接し、
高級住宅街としても有名です。
戦前には、奥沢は海軍の高級士官たちが
多く住んでいた場所でもあります。
奥沢一丁目・二丁目を中心に
今でもその子孫が住んでいると聞きますし、
奥沢二丁目には「奥澤海軍町記念碑」
が今も残されています。
このように、奥沢の地には長い歴史があり、
それが地域全体の風景や文化に反映されています。
その中でも、
奥沢神社の「大蛇お練り行事」は特に有名です。
このお祭りは、東京都の無形民俗文化財にも指定されており、
毎年9月の第二土曜に行われます。
大蛇お練り行事は、
氏子たちが藁で作った大蛇を担ぎ、
地域を練り歩くもので、
その起源は江戸時代にさかのぼります。
疫病が流行した時代に、
名手の夢枕に八幡様が現れ、
「藁で作った大蛇を村人が担ぎ、村内を巡行せよ」
というお告げを受け、村人たちは大蛇を作り、
地域を練り歩いて疫病退散を願ったと言われています。
藁で作られる大蛇は、
長さ約9メートル、胴の直径は約25センチ、
重さは150キログラムにもなります。
祭りの1週間前から40人がかりで大蛇を作り上げ、
祭り当日には「わっしょい」の掛け声と共に大蛇を担ぎながら、
まるで生きた蛇が道を這うかのように
左右に揺らしながら進んでいきます。
この迫力ある光景は、
見物客にも大いに楽しんでもらえることでしょう。
3、大蛇と地域の結びつき
私がこの大蛇お練り行事を知ったのは、
実は昨年のことでした。
それまでは、奥沢神社の前を子供達と通るたびに
薄暗い境内の手前にある鳥居に巻きついている大蛇を見て
「怖い!」と思っていたほどです。
大きな目までついているんですよ!
特に夜に見る大蛇は不気味さが増し、
神社に足を踏み入れるのもためらうほどでした。
しかし、昨年の例大祭の時、バルコニーから
「わっしょい」の掛け声が聞こえてきて何事かと思い、
外を覗いてみたのです。
すると、大蛇が練り歩いているではありませんか!
その光景には本当に驚きました。
すぐに調べてみると、
この大蛇は厄除けとして地域に深く根付いているものだとわかり、
それ以来私は毎日奥沢神社に参拝するようになったのです。
それにしても、
このような疫病退散の意味合いを持つ行事があるならば、コロナ禍の時にも行われた方が良かったのではないかと
感じることがあります。
もちろん、当時は感染対策のために
お祭りが中止されたのは仕方のないことですが、
それでもこの伝統行事が中止されたことは
地域にとって少し寂しい出来事だったのではないでしょうか。
4、大蛇お練り行事の現在と未来
奥沢神社の大蛇お練り行事は、
通常2体の大蛇が存在します。
鳥居に巻かれる前年のお練りで使われた
大蛇①と、
境内に安置される新しい
大蛇②です。
そして、お祭り直後には、
新たに作られた
大蛇③が加わります。
翌年になると、1年間境内に安置されていた
大蛇②が鳥居に巻かれ、
新しい大蛇が境内に登場するというサイクルが繰り返されます。
こうして、お祭り直後に奥沢神社を訪れると、
3体の長い大蛇がいるというわけで、
まるで「蛇だらけ」
というような印象を受けるほど
大蛇が並んでいる光景が広がります。
また、このお祭りを支えているのは
地域の商店会です。
それぞれの商店会が独自にお神輿を出し、
筋道ごとに分かれてお祭りが行われています。
ここは、本町陸。
各町内会のお神輿が集まると、
その迫力は本当に圧倒的です。
商店会が全て協力して行えば、
さらに盛大なお祭りになる可能性もありますが、
それぞれの商店会が独自に活動していることが、
この地域の特色として面白い部分でもあります。
奥沢神社の例大祭は、
ただの伝統行事ではなく、
地域全体をつなぐ重要なイベントです。
これからも、この大蛇お練り行事が次世代へと受け継がれ
地域の結束がさらに深まることを期待しています。
私もこの1年間の参拝を続けて、次のお祭りを楽しみにしています。
ちなみに、先ほど、
今年の大蛇練りが来ました。
あら?
今年はうねうねしていません。
昨年は驚くほど、うねうねとぶんぶん
振り回されていたのに、
きっと暑さのせいでしょう。
無理ですよね。